「マイクロツーリズム」という言葉を聞いたことがない、という人も多いのではないでしょうか。近年、日本では海外からの観光で訪れる観光客が増えていましたが、2020年の年明け以降、新型コロナウィルスの感染症が流行したことの影響を受けてそれまでのような海外からの旅行客による利用がなくなる状況となっています。
また海外との行き来だけでなく国内旅行の面でも影響があり、この時期に長時間かけて長い距離を移動して旅行に出かけることに対して抵抗感がある人は少なくありません。観光需要が減ってしまった旅行業界では、需要の回復を目的にミニマムツーリズムやスモールツーリズムといった呼び名で近場での旅行を呼びかける動きがあります。その1つが、国内外に42か所の施設を運営している星野リゾートが提案する旅行スタイルのマイクロツーリズムです。
旅行というと遠くまで出かけて過ごすことをイメージするのが一般的です。そのため遠方の観光名所は旅行の行き先として価値があるように思われます。しかしその反面、近場にあるのにまだ訪れたことがない名所も多くあるのではないでしょうか。マイクロツーリズムは、そのような地元にある魅力的なところを訪れて景色やグルメ、名産品などの近場の魅力を再認識するというものです。マイクロツーリズムでは、おもに自宅から30分から1時間程度で訪れることができる範囲の旅行を意味しています。近場で過ごすことで、3密を避けながら安心・安全に地元の魅力に触れることができます。都道府県を超えることなく旅行をするのなら、感染の拡大を広げてしまうのでは、といった心配をすることなく観光を楽しむことができるのがメリットです。さらに地元での消費を増やすことができ、地域の経済にとっても良い影響を与えることができます。
3密になる可能性があった今までの人気の観光地を訪れるのとは違い、それまであまり出かける機会がなかった地元の名所でなら比較的、密閉・密集・密接になる状態を避けながら観光をすることができるでしょう。
今まで国内外から人が集まる有名な観光地の近くに住んでいる場合も、近すぎるため却ってあまり訪れる機会がなかったという人もいるものです。そのような人にとっては、これまで行ったことがなかった名所を見学するのに良い機会となるかも知れません。安心・安全に夏休みの空いた時間を有効に活用する方法を考えているのであれば、今年はマイクロツーリズムを意識して近場での観光をしてみるのもおすすめです。